奈良県天理市の、日本最古の道「山の辺の道」のコース上にある「石上神宮」。
神さびた雰囲気の中に佇む石上神宮は、日本最古の神社と一つと言われています。
今回は、古代史の中で、武門の棟梁として活躍した物部氏の総氏神でもあった、由緒正しい石上神宮をご紹介したいと思います(*'▽')
石上神宮とは
では、駐車場(県道51号線側)から歩いて、境内に入っていきます。
しばらく歩くと、大鳥居が見えてきます。
とても威厳を感じる、立派な鳥居ですね✨
ここには、樹齢300年を越える杉も数本あり、万葉集には「石上布留の神杉…」との記載も残されています。
石上神宮は、物部氏の総氏神ですが、その中でも、528年に九州北部で起こった磐井の乱を鎮圧した物部麁鹿火(あらかい)・欽明天皇(在位539年~571年?)の時代に活躍した物部尾輿(おこし)・蘇我馬子と崇仏廃仏を巡って激しく応酬し、のち丁未の乱(587年)で、蘇我馬子と聖徳太子軍に敗れた物部守屋などが、有名です。
そう考えると、この神社は、1500年以上前から、この地にあった可能性が高いのですね。
そりゃ、オーラが段違いなのもよくわかります✨
さらに、物部氏は、初代の神武天皇よりも前に大和入りをしたと言われている饒速日命(にぎはやひのみこと)が祖先と伝わる有力な豪族で、はじめは鉄器と兵器の製造・管理していましたが、しだいに有力軍事氏族へと成長していきました。
この石上神宮は、朝廷の武器庫でもあったと言われています。
神さびた中に、風格があるのも頷けますね。
大鳥居をくぐって、右手に見えてくる鏡池も、何だか神々しい。
拝殿周辺・禁足地から発見されたものは…
手水所で身を清め、まずは拝殿に向かいます。
見えてくる立派な楼門(鎌倉時代・重要文化財)。
もともとは、鐘楼門として上層に鐘を吊るしていたようですが、明治の「神仏分離令」が出された時に、取り外され売却されました。
そう聞くと、神社の門には珍しいこの形にも納得がいきますね。
尚、正面の木額の字は、明治・大正時代の政治家として有名な山縣有朋の筆によるものです。
門のまわりの廻廊も見事です。
こちらは、昭和7年に建てられたものですが、古文書によると、かなり以前から建てられていたものが、地震などによって倒壊し再建されたようです。
さて、足を踏み入れて正面に見えてくる拝殿は国宝です。
石上神宮への御崇敬が厚かった白河天皇(平安時代後期)により、寄進された宮中の神嘉殿だと伝わっています。
拝殿としては、現存する最古のもので、石上神宮に本殿が作られたのは大正初期なので、長きにわたり、本殿と同等の扱いを受けていました。
本殿が出来るまでの長い長い間、石上神宮では、拝殿後方の「禁足地」を、いわゆるご神体としていました。
この禁足地に、石上神宮のご神体である「師霊(ふつのみたま)」と呼ばれる神剣が土中深くに埋められているという言い伝えがあったからです。
ところが、明治7年に管政友(かんまさとも)大宮司により、禁足地が発掘され、そこからなんと伝承通りのご神体の剣が出てきます(゚∀゚)❕
伝承が正しかったことが証明され、大正2年に神剣「師霊」を泰安するために本殿が建てられました。
古くからの伝承の通りに神剣が出てくるなんてすごいですね(´艸`*)
おそらくこの地は、古墳時代のころからの聖地だったのでしょう。
境内のオーラが半端ないです。
出雲建雄神社拝殿が国宝である理由
さて、楼門の向かい側にある摂社は「出雲建雄神社(いずもたけお)」と呼ばれています。
ここには、皇室に伝わる三種の神器の一つ、草薙剣の荒魂が祀られています。
何か新しいことを始めたい…と思っている方は、石上神宮にきたら、ぜひ忘れずお参りしてください✨
また、この「出雲建雄神社」の拝殿が、素晴らしいのです(*ノωノ)
この建物は、この近くにあった、鳥羽天皇の永久年間(1113年~1118年)に創建された大寺院・「内山永久寺」の、鎮守社の住吉社の拝殿から移築されたものです。
豪華絢爛な大寺院であった内山永久寺ですが、明治の廃仏毀釈の際に、完膚なきまでに破壊され、貴重な仏像なども失われました。
その遺構として残されている大変貴重なもので国宝です。
ぜひ、出雲建雄神社の本殿とともに、お参りしていただきたいと思います。
ちなみに、手水舎から南向きの道が山の辺の道で、内山永久寺跡へと続いています。
また、出雲建雄神社近くには、他にも摂社があります。
七座社の方は、かなり個性的な造りですね✨
石上神宮のシンボルである鶏
鏡池のそばにある休憩所。
なんだがいい雰囲気の建物だと思ったら、古くから拝殿前にあった舞殿が移築されたものでした。
その休憩所のあたりには、鶏がたくさん。
石上神宮では、約40年前に奉納されたさまざまな種類の鶏が放し飼いにされています。
種類は、東天虹(とうてんこう:高知県産・天然記念物)や烏骨鶏(うこっけい:天然記念物)などもあり、境内の神々しさのなかで、神様の鳥…といった雰囲気。
いまでは、すっかり石上神宮のシンボルとなっています。
また、そのためか、酉年の初詣の参拝客は、特に多いようです(=゚ω゚)ノ
夜は、鶏たちは、低い木から順々に高い枝に飛び移り、そこで一夜を過ごしていますが、高く飛び上がることができない鶏たちのために鶏舎が置かれています。
ちなみに私は、この石上神宮がお気に入りだった両親に連れられ、小さい頃はよくここで鶏と遊んでいました。
そんなわけで、小さい頃はウチの息子も引き続き、祖父母に連れられ、ここで鶏と戯れていました。
小さい子どもも楽しめる神社ですね♬
ウチの母親は「あの神社、そんなにすごいところやったんや~」と驚いていましたが…(;^ω^)
石上神宮へのアクセス等
《石上神宮・参拝情報》
所在地 〒632-0014 奈良県天理市布留町384
電話番号 0742-62-0900
拝観時間 境内自由
ただし、拝殿での参拝は季節により楼門の開閉があるそうですが、だいたい午前5時半~午後5時半くらいは、空いていることが多いそうです(公式サイトより)
公共交通機関でのアクセスは…
◦JR・近鉄天理駅より徒歩30分
◦天理駅よりタクシー約10分
◦天理コミュニティバス「いちょう号」(東部線)下山田系統「石上神宮前」下車・徒歩10分
自家用車でのアクセスは…
◦名阪国道「天理東」インターから約5分
◦西名阪自動車道「天理」インターから約15分
無料駐車場有(約200台駐車可)
《参考文献》
まとめ
物部氏の総氏神社であった石上神宮をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
その禁足地から、伝承通りの神剣が出たことからも、古墳時代あたりから、この地にあった可能性が高い神社だと思われます。
公共交通機関でのアクセスは、決してよくはないのですが、山の辺の道のハイキングルートにもなっていますので、お近くにお越しの際はぜひ、お参りしてみてください(*'▽')
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m