奈良公園から北に向かうと「京街道」と呼ばれる、古代からの交通の要所であった旧道があります。
その京街道沿い、京都府との県境に近い高台にある般若寺は「関西花の寺」としても知られていて、別名「コスモス寺」とも呼ばれることも。
その般若寺に行ってきました(訪問日は、2021年6月8日)が、単に「花のお寺」と認識するにはもったいないくらいの歴史の宝箱のようなお寺でした✨
重要な街道沿いに位置していたため、時代の移り変わりに翻弄されていく人々を見つめ続けてきたお寺でもあります。
そのため、この「般若寺」は、2回に分けてご紹介したいと思います。
今回は「花のお寺」としての般若寺を取り上げさせていただきます(*'▽')
別名「コスモス寺」とも呼ばれる般若寺
拝観料を払い、境内に入っていくと、大きな石と、その上に載った不動明王さまに迎えられます☟
いきなり大きな岩があり、少しビックリしましたが、その先の本堂ととてもマッチした景色なのです✨
私が訪れたのは、2021年6月8日。
早咲きのコスモスが、風になびいていました。
この時期のコスモスは、とても珍しい(*´ω`)
本堂は、江戸時代に再建されたもので、奈良県の文化財として登録されています。
周りの風景に溶け込むような、素敵な建物です✨
そして、本堂の手前にある石灯篭に目が行きます。
花崗岩製であり、古来より「般若寺型」あるいは「文殊型」と呼ばれる形なのだそう。
とても美しいデザインです(*´▽`*)
「関西花の寺」としても知られる
この辺りに人が多いなあ…と思ったら♡
ここは「お花ゾーン」でした🎵
そして、SNSでも取り上げられ、注目を集めたのが、ガラスボールの中に浮かべられた紫陽花🌸
この紫陽花ガラスボールは、本堂の前の石段に並べられています。
あまりにキレイなので、石段にへばりついて、写真を撮っておられる方をたくさん目にしました(´艸`*)
さすが、この札の通りのお寺ですね☟
本堂を取り巻く観音石仏が愛らしい
さて、本堂の回りを歩くと、可愛らしい石仏がたくさん安置されています。
![般若寺](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/x/xnorico/20210625/20210625002744.jpg)
![般若寺](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/x/xnorico/20210625/20210625002830.jpg)
これらは「西国三十三所 観音石仏」と呼ばれています。
この石仏は、江戸時代の中頃、山城国北稲八間の寺島氏という人が、病気平癒の御礼に奉納したとのこと…
寺島氏って誰?
…と思ったのですが、まだ調べはついていません💦
ただ「北稲八間」という地名は現代もあり、京都府相楽郡精華町の中なので、般若寺からは約13kmほど。
比較的、お近くの方だったのですね(;^ω^)
観音石仏のおかげで、般若寺がさらに印象深いものとなっているのは、間違いありません✨
般若寺のシンボルの一つ「十三重石宝塔」
さて、本堂正面から向かって右側・南の方向に、大きな石塔があります。
約14mあり、とても目を惹くその塔は、鎌倉時代に建てられた「十三重石宝塔」です。
十三重石宝塔がある大きな基壇では、授戒式を行ったと考えられています。
また、この石宝塔の下部に、目を凝らしてみると…
仏さまが彫られていました✨
さらに、この石塔内部からは、納入宝物が多数(奈良時代の銅造如来立像・鎌倉時代の金銅舎利塔・金銅五重塔・水晶五輪塔四基・箱入法華経などで重要文化財に指定)発見されています。
というのも、昭和39年大修理の際に見つかったのです(゚∀゚)スゴイ
白鳳時代の阿弥陀如来像は、秘仏とされ、春と秋の秘仏公開時期のみ拝観することができます(その他の納入宝物も、秘仏公開時期に見ることができます)。
ところで、鎌倉時代の建造物から、どうして奈良時代の仏像が出てくるのか…というと、
般若寺の縁起としては、飛鳥時代の629年に、高句麗の僧であった慧灌(えかん)が創建したと伝わっていて、その後の奈良時代に、聖武天皇建立説や行基建立説など諸説があるようです。
ただし、756年に書かれた「東大寺古図」に伽藍が見えることから、その時までに成立していたことは確かなようです。
こういったことからも、十三重石宝塔の秘仏は、もとから般若寺に伝わっていたものである可能性が高いと思われます。
また、十三重石宝塔の南側には「石造相輪」が置かれています。
これは、南北朝期か室町期に起きた大地震で墜落したものといわれています。
さらには、十三重石宝塔から見て北東方向に、印象的な二本の石碑が建っています。
これは、十三重石宝塔を建てた、宋の石工・伊行吉が、父・伊行末の一周忌にあたり、父母の供養のために建立したものと伝わっていて「笠塔婆」と呼ばれています。
もともとの笠塔婆は、明治初期の廃仏毀釈で破壊されたため、現在のものは、明治26年に再建されたものです。
さて、ここまで来て、十三重石宝塔の方を振り返ってみると…
塔の東側に、薬師如来が祀られています。
そこにもやはり、美しいお花が飾られてありました。
本当に、心癒される素敵なお寺です(*´ω`)
般若寺へのアクセス・拝観情報
《般若寺・拝観情報》
所在地 〒630-8102 奈良県奈良市般若寺町221
電話番号 0742-22-6287
拝観時間 9時~17時(最終受付16時半)
9時~16時(1月・2月・7月・8月・12月)
通常拝観料 大人500円・中高生200円・小学生100円
《秘仏特別拝観》
期間 春季公開(4月29日~5月10日)
秋季公開(9月20日~11月11日)
拝観時間 9時~16時(最終受付15時半)
白鳳秘仏特別拝観料(別途通常拝観料が必要)
大人 200円 中高生以下 100円
《公共交通機関でのアクセス》
JR奈良駅より奈良交通バス約15分「般若寺」下車・徒歩約3分
近鉄奈良駅より奈良交通バス約10分「般若寺」下車・徒歩約3分
《自家用車でのアクセス》
西名阪自動車道・天理IC下車 約15分
第二阪奈道路・宝来IC下車 約15分
京奈和自動車道・木津IC下車 約7分
※無料駐車場有 (ただし、秋のコスモスシーズンは大変混雑するため、普通車一回500円)
《参考文献》
※「般若寺」公式パンフレット
まとめ
私が訪れたのは、6月8日で、駐車場も比較的空いていたのですが、その頃からSNSなどで、美しいお花がどんどん人気を集め、連日、駐車場がいっぱいになっているようです(もっとも、そろそろ見ごろは終了しそうですが💦)。
創建以来、数々の戦火に見舞われ、廃仏毀釈でも衰退し、約40年前にはほぼ荒寺だったところを、花の寺として見事復活された般若寺。
その美しいお花の境内を中心にご紹介させていただきました。
次回は、般若寺の歴史的背景についてお伝えしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました<m(__)m>