以前の記事で、奈良県天理市にある石上神宮をご紹介しました☟
その石上神宮には、国宝・出雲建雄神社拝殿があります☟
今回は、この国宝がもともとあった「内山永久寺跡」を訪ねてみたいと思います。
内山永久寺は、鳥羽天皇勅願寺(平安時代後期創建)という素晴らしい大寺でありながら、明治時代初期の廃仏毀釈の際に、完膚なきまでに破壊されたという悲しい歴史をたどったお寺なのです。
石上神宮から内山永久寺跡まで
石上神宮から内山永久寺跡へは「山の辺の道」ルートを辿ると、歩いて行くことができます。
ちなみに「山の辺の道」とは、奈良市から桜井市にかけての古代の道で、ハイキングコースとして大変人気があります。
「大神神社(JR三輪駅)」から「石上神宮(JR・近鉄天理駅)」間を歩く「南コース」は、特に人気です。
※「大神神社」についてはコチラ☟
「石上神宮」を出発点として、南コースを歩いて行くと「内山永久寺跡」は、次のチェックポイントになります。
ちなみに「山の辺の道 北コース」は、こういうルートです☟
私は一昨年、機会があり、北コースの円照寺を訪ねました☟
では、石上神宮の、鶏がたくさんいる休憩所あたりから、南に向けて出発しましょう❕
鶏舎を超えて、森の中を歩き出します。
とても、神秘的な雰囲気ですね。
視界が開けてきたところに、池が見えてきますが、そのまま、歩いていきます。
山の辺の道沿いには、ところどころに看板があるので安心ですね✨
道中で、とてもいい感じの神社を発見。
「白山神社」という神社のようです。
由緒書きを読んでみると、御祭神はイザナギのミコトとイザナミノミコトだそうで、境内社には、稲荷神社もあり、五穀豊穣・延命長寿の守護神として、昔から地域の人々のご信仰が深いようです。
そのまま、名阪国道(国道25号線)の下をくぐって、少し歩くと「内山永久寺跡」が見えてきます。
内山永久寺とは
平安時代、12世紀の永久年間に鳥羽上皇の勅願によって建てられた寺で、多くの堂宇坊舎をかかえていました。
1336年には、後醍醐天皇が吉野に逃避する途中に、身を隠したこともあるそうで、その跡は「萱の御所」とも呼ばれています。
その後、1595年に、豊臣秀吉から広大な寺領を与えられ、江戸時代には「西の日光」と呼ばれるほど、豪華絢爛で数多くの参拝者で賑わう大寺でした。
この頃は、興福寺・東大寺・法隆寺に次ぐ待遇を受けていたのです。
また、石上神宮の神宮寺としても、大いに栄えました。
内山永久寺跡には、松尾芭蕉の句碑も残されています☟
江戸時代の頃の、内山永久寺の見事な満開の桜の様子が詠まれています。
現在の内山永久寺跡の様子
それほどに素晴らしい大伽藍を誇ったはずの「内山永久寺」ですが、現在残っているのは、なんと境内にあった池のみです。
のどかですが、何とも寂しい風景が広がるばかり。
山の辺の道を歩いていても、ここに看板がなければ、昔お寺があったことすら知らずに通り過ぎることでしょう。
…いったいどうやったらこうなるの?
廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた際、内山永久寺の僧たちは、昨日まで崇めていた仏像を叩き壊し、首を落とし、薪にし、さらには糞尿までかけたそうです。
人の心って恐ろしいですね。
同じ時期に、何とかしてお寺を、仏像を守ろう…とした人々もたくさんいます。
たとえば、大神神社にあった大神寺では、御本尊を必死の思いで運び出した僧たちがいました。
一つは、近くの聖林寺(十一面観音立像)に、もう一つは法隆寺(地蔵菩薩像)に。
それらの仏像は今では国宝に指定されています。
聖林寺の「国宝・十一面観音立像」についてはコチラ☟
日本に伝来された仏教は、もともと中国からやってきたものですが、古い時代のお寺の伽藍などは、その中国には全く残されていません。
ですが、日本には1400年の歴史を誇る法隆寺が、未だ現存しています。
法隆寺についてはコチラ☟
こんなにも、文化を大切にできる日本人が、一方でこんなことにもなってしまう。
「廃仏毀釈」の歴史はとても悲しいものですが、こういうことが過去に起きてしまった…という事実を受け止め、二度とこのようなことが起きないようにすることが大切なのではないかと思います。
この寂しい風景を見るにつけ、それを心に刻みました。
尚、現在は、内山永久寺の本堂池の南側に「内山永久寺跡ポケットパーク」が建てられています。
ちょっとした展望台があります。
ここから、内山永久寺跡を見回し、当時の栄華を感じると感慨深いものがあります。
石上神宮より内山永久寺跡へは、徒歩約13分。
カジュアルフレンチ「Le Reve~ル・レーヴ」
さて、話は急に変わりますが、たくさん歩くとやはり、お腹が空いてきますよね(笑)。
石上神宮の隣に「Le Reve」という、古民家を改装した素敵なフレンチレストランがあります。
ここでは、結婚式の披露パーティなどもされているそうです。
石上神宮で式を挙げて、その後はここで…という流れなんでしょうが、とても素敵な雰囲気です✨
ここのランチは、本当におすすめなんですが、中でも焼き立てのパンが食べ放題なのが嬉しいのです🎵
以前、ランチに行った時の写真を載せますね☟
最近はあまり行く機会に恵まれていないのですが、写真を見ていたら、また行きたくなりました(´艸`*)
《店舗情報》
「Le Reve~ル・レーヴ」
〒632-0032 奈良県天理市杣之内町123
電話番号 0743-63-6922
営業時間 8時~16時半
17時半~22時(LO21時)
定休日 水曜日(ただし水曜日が祝日の場合は営業)
モーニング・ランチ・ティータイム・ディナー有。
ちなみに、石上神宮と「Le Reve」の間にある石上神宮外苑公園も、とてもいい場所ですよ☟
師走の晴れた日。
— クマ子 (@xkumaco) December 5, 2020
まだ、ところどころに、秋が残っている。
年の瀬を迎える前の、ひとときの安らぎ✨#石上神宮外苑公園 #紅葉 pic.twitter.com/VxmUMHjFIt
《参考文献》
まとめ
今回は、明治時代初期の廃仏毀釈によって、跡形もなくなってしまった「内山永久寺跡」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
山の辺の道・南コースのハイキングルートになっているので、通る方も多いと思いますが、内山永久寺の歴史を知らなければ「いい感じの池があるなぁ」とか「展望台があるから登ってみよう」と思うくらいで、まさかここに、ほんの140年ほど前まで、豪華絢爛なお寺があったことは信じられないと思います。
もし、この場所を通られる機会がありましたらぜひ、在りし日の内山永久寺にも思いを馳せてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m